授粉不要なすに全て切り替え~作業省力化、冬の品質安定も~

2025.12.18

JAみなみ筑後瀬高なす部会は、今年産から品種を全て単為結果性の「PC筑陽」に切り替えました。受粉作業が不要になり、厳寒期の品質も良好です。天敵を使った害虫防除も組み合わせ、作業の省力化につなげます。今季は出荷量7000㌧、販売金額30億円を目指します。
 「PC筑陽」は単花処理や蜂による受粉がなくても安定的に果実が肥大する単為結果性の品種です。同JAでは2019年から導入しました。従来、生産者は早朝から収穫し、昼からは受粉作業を行う必要があり、労力が多くかかる上に、夕方には花がしぼむため、作業をできる時間にも限りもありました。冬場の寒い時期には、果実が細くなる傾向がありました。
 「PC筑陽」導入で受粉作業不要になり、大幅な省力化につながっています。JAの営農指導員らの品種に合わせた栽培指導や生産者の努力もあり、市場からの評価も高い。厳寒期でも細いナスの発生が減りました。阿部幹夫部会長は「受粉作業に費やしていた時間をほかの作業に充てられるようになり、細部まで手が回るようになった」と評価します。
 ほとんどの部会員が、タバコカスミカメなどアザミウマ類の天敵利用に取り組み、殺虫用の農薬使用量や作業の手間も削減します。2024年産では出荷量と販売金額、単価がいずれも一昨年を上回りました。今年も令和6年産を超える成績を目指します。部会は部会員189人が46ヘクタールを栽培し、冬春なすは来年7月まで出荷を行う予定です。